薬剤師法から読み解く薬剤師の役割

2015年は、薬局・薬剤師をめぐる不祥事が相次ぎ、薬局・薬剤師への不信感が広がった1年だったといえるでしょう。

まず、大手ドラッグストアチェーンでの薬歴未記載問題が発覚し、その後、次々と同様の薬局があることが判明し、国会でも取り上げられました。

また、別の薬局では、事務員などの薬剤師以外による無資格調剤が行われていたことが明らかとなり、厚生労働省から指導通知が出される事態となりました。

さらに、週刊誌では、「おくすり手帳」の有無によって薬剤服薬管理指導料の料金が異なることが十分に説明されないまま会計が行われている、などと調剤料の請求が不適切であることなどが記事になりました。

こうした薬局や薬剤師への不信感は一朝一夕に払拭できるものではなく、今、まさしく、私たち薬剤師のあり方が問われていると言っていいでしょう。

薬剤師の責務

言うまでもなく薬剤師は免許制であり、薬剤師は皆、国家試験に合格し、その免許を手にしています。その薬剤師が薬剤師たる上で礎としているのが「薬剤師法」です。

薬剤師法の第一条には「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする」と記されています。

医療従事者に関わる法律には、他にも医師法、歯科医師法、保健婦助産婦看護婦法などがありますが、このうち「国民の健康な生活を確保する」という条文があるのは、医師法、歯科医師法と薬剤師法の三師法です。保健師助産師看護師法にはその記述はありません。

つまり、調剤や薬事衛生(食品や衛生品などの管理業務)などの業務を通じて国民の健康な生活に寄与する、という責務が、資格と共に薬剤師に与えられているのです。

薬剤師としての矜持を大切に

この薬剤師法に照らし合わせると、薬歴未記載問題や無資格調剤が、いかに薬剤師として無責任な行為であったかが分かるのではないでしょうか。

医薬品を服用した上での副作用や安全性の情報が記録されていなかったり、責任を負える立場ではない者に調剤をさせたり、といった行為は、薬剤師の職務放棄といっても過言ではありません。

薬剤師の仕事は「20年後にはロボットにとって代わられる仕事」と揶揄されることがしばしばありますが、こうした評価もやはり、薬剤師としての責務を果たしてこなかったことが原因でしょう。

「薬歴を書く時間が取れない」「会社・薬局として取り組む姿勢がないので仕方がない」など、課題をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

しかし、私たち薬剤師は会社員である前に、1人の薬剤師であるはずです。「ただ言われた通りに働いているだけの薬剤師」、「仕事をするための薬剤師」ではなく、薬剤師法第一条にある「国民の健康な生活を確保する」という、薬剤師としての矜持を持って業務に取り組んでいかなければ、今後ますます薬剤師への風当たりは強くなっていくのではないでしょうか。

※2015/12/27 「薬剤師の転職・求人・派遣募集なら【転職ゴリ薬】」掲載分原稿

ふな3
ふな3
栃木県にある調剤薬局に勤務する薬剤師です。 薬局薬剤師としての勤務経験は長いとは言えませんが、日々業務や勉強をしながら気づいたことや感じたことを書き留めていきたいと思います。 ツイッターはこちら → @funa3di

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