傾聴の大切さ

昨年の秋口のことです。ある日の午後、知人の女性から「ちょっと聞いてよ!」とLINEが来ました。

メッセージを確認すると、矢継ぎ早に「福山雅治が結婚するんだって!」「ましゃ(福山雅治の愛称)だけは、ぜーったい結婚しないと思ってたのに!」と、かなり興奮した様子……。挙句の果てには「もう仕事する気がなくなったから、今日は会社を早退するわ」との言葉まで出ました。

『そもそも、自分だって結婚して、もう子供もいるのに、何がそんなにショックなんだろう?』と苦笑しながらも、「それはショックだったね」「いきなりの発表だったから驚いたね!」と相づちを返している間に、本人もだんだん落ち着いてきたらしく、「話を聞いてもらったらスッキリしたわ!ありがとね!」と、どうやら仕事をする気になれたようでした。

ワイドショーでも、彼女のような、いわゆる「ましゃロス」で「仕事を休む」「やけ酒を飲んでやる」といった女性が多くいたことが報道されていました。

人はなぜ、他人に話すのか?

先に書いた「ましゃロス」の女性ほど極端ではないにせよ、皆さんも「ちょっと聞いてよ!」と話を聞いてくれる人を探した経験はありませんか?

「道を歩いていたらガムを踏んでしまった」「仕事帰りにわざわざ1時間も遠回りして買い物にいったのに、目当ての限定品が売り切れていた」「お気に入りの服を汚してしまった」

そんなショックを受けた時、人は「ちょっと聞いてよ!」と、思わず誰かに話してしまいたくなるものです。

でも、これって、ちょっと不思議なことだと思いませんか? その出来事や気持ちを誰かに話したところで、それらの問題は一切解決しないのですから。

誰かに話したところで、踏んづけたガムが取れるわけでもなく、売り切れの限定品が買えるようになるわけでもなく、お気に入りの服の汚れが取れるわけでもないのです。

では、なぜ人は誰かに、そのストレスを受けた出来事を話すのでしょうか?

人に話すことで安らぎが得られる

人は、ストレスを感じた出来事を他人に話すことで、自分自身の気持ちが整理されて、気持ちが落ち着くといわれています。

特に、自分の怒りや悲しみ、といったネガティブな感情に共感してくれる相手があることは、その怒りや悲しみを和らげる作用を持っているのです。

こうした作用は、メンタルケアの場面において、カウンセリングという形で治療やリハビリに取り入れられてもいます。

薬剤師としての「傾聴」の大切さ

私たち薬剤師は、日々、さまざまな疾患をかかえた患者さんと接しています。

患者さんは、病気の症状や痛み、治療や薬の副作用についての不安など、私たち以上に敏感になっていらっしゃいます。

そんな患者さんのお話にじっくりと耳を傾けて「傾聴」することで、たとえ患者さんにとって何の解決にならなくても、あるいは、薬剤師として何もして差し上げられなかったとしても、患者さんの治療の手助けになるのではないでしょうか。

平成28年度調剤報酬改定で新設された「かかりつけ薬剤師」制度では、薬剤師に「患者さんとの信頼関係」や「コミュニケーション力」が求められています。
患者さんに選んでいただける薬剤師になることが目標ではありませんが、「かかりつけ薬剤師」としてその役割を十分に果たすためにも、普段から患者さんの悩みや不安に耳を傾けておきたいものです。

「いつでも、どんな話でもお聞きしますよ」という雰囲気づくりを心がけ、「傾聴」を大切にしていきたいですね。

※2016/05/05 「薬剤師の転職・求人・派遣募集なら【転職ゴリ薬】」掲載分原稿に加筆

ふな3
ふな3
栃木県にある調剤薬局に勤務する薬剤師です。 薬局薬剤師としての勤務経験は長いとは言えませんが、日々業務や勉強をしながら気づいたことや感じたことを書き留めていきたいと思います。 ツイッターはこちら → @funa3di

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