HOP!薬剤師コラム:「誰にでもできる仕事」の先にある“笑顔”

薬剤師転職支援サイト「HOP!薬剤師」でコラムを担当させていただいています。
「転職支援サイト」という枠組みにとらわれず、普段の保険薬局での業務を通じて感じたことや、薬剤師としての取り組み方などをお話させていただければと思います。

2回目は、「「誰にでもできる仕事」の先にある“笑顔”」という記事を書かせていただきました

近年、薬剤師に対する風当たりは強く、ややもすれば「袋詰め」「ピッキングマシーン」など“誰にでもできる仕事”と揶揄されることもあるかと思います。

そんな「誰にでもできそうな仕事」をしっかりと積み上げることこそが、その先にある患者さんの「笑顔」という薬剤師の真の仕事への道なのではないでしょうか。

HOP!薬剤師コラム:嫌われる薬剤師を目指す!

このたび、薬剤師転職支援サイト「HOP!薬剤師」でコラムを担当させていただくことになりました。
「転職支援サイト」という枠組みにとらわれず、普段の保険薬局での業務を通じて感じたことや、薬剤師としての取り組み方などをお話させていただければと思います。

1回目は、「嫌われる薬剤師を目指す!」というタイトルで記事を書かせていただきました。

薬剤師という職種は、「調剤ミスをしないように」「患者さんをお待たせしないように」「患者さんの悩みを聞き取れるように」「薬歴をしっかり書けるように」など、様々なことに気を配ることが必要な職種だと思います。

そんな「嫌われないように」という思いが、結果的に患者さんにとって負の側面を持っていたとしたら…。「患者さんのためを思って『嫌われる勇気』を持つこと」が、患者さんにとっての真の利益になる、のかもしれません。

インフルエンザなのに抗生物質!?

数年前の話になりますが、ある患者さんが「インフルエンザです」と処方箋をお持ちになりました。そこには「タミフル®カプセル75mg」と一緒に「クラリスロマイシン錠200mg」の文字が並んでいました。

当然ながら、クラリスロマイシンは抗生物質であり、インフルエンザウイルスに対しては効果がありません。小児や高齢者で肺炎などの合併症が懸念される場合には抗生物質が処方されることもありますが、この患者さんは30歳前後のがっしりとした体つきの男性でした。

症状も発熱と節々の痛み程度で、特に合併症の心配はなさそうに見えます。

処方箋を前に、少しの間、別の薬剤師と「医師が処方箋を書き間違えたのではないか?」「疑義照会しなくて良いか?」「患者さんが聞き間違えたのか?」など、相談しましたが、結局そのまま調剤することにしました。

クラリスロマイシンには治療増強効果が

インフルエンザの患者さんへのクラリスロマイシンの処方箋は、それ以降受け付けることはありませんでしたが、その不思議な処方はずっと頭に残っていました。

それから半年ばかりした頃、感染症の講演会に参加した時のことです。
「インフルエンザに対し、抗インフルエンザ薬と一緒にクラリスロマイシンを使用することで、治療効果の増強が期待できる」という講演を聞き、「あの時の処方箋はこれだったのか!」と納得できました。

クラリスロマイシンによる抗インフルエンザ効果

クラリスロマイシンがインフルエンザの治療効果を増強する主な機序としては、次の3つが考えられています。

(1)インフルエンザウイルス受容体の減少効果
インフルエンザウイルスは、喉などの気道粘膜に存在するインフルエンザウイルス受容体に吸着され、ヒトの細胞へ侵入し増殖していきます。クラリスロマイシンには、このインフルエンザウイルス受容体を減少させる効果があります。

(2)炎症性サイトカインの産生抑制効果
インフルエンザウイルスの感染により増加する炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-8など)の放出を抑えることで、気道炎症などを改善する効果があります。

(3)抗体価の上昇効果
タミフル®などの抗インフルエンザ薬は、インフルエンザウイルスの増殖を抑制することでインフルエンザの治療期間を短縮することができます。一方で、ウイルスの増殖を抑制するため、体内で産生される抗インフルエンザIgA抗体の産生量を減少させてしまうというマイナスの面も持ち合わせています。

クラリスロマイシンはこの抗インフルエンザ IgA抗体の産生量を増加させる働きがあり、気道粘膜における免疫応答を増強する効果があります。

これにより気道粘膜の獲得免疫ができるため、1シーズンのうちに再度インフルエンザに罹りにくくなることが期待されます。

適応外処方であることに注意を

これらのクラリスロマイシンの作用は、インフルエンザウイルスだけではなく、一般に“風邪”と呼ばれる疾患の原因である、ライノウイルスやRSウイルスなどにも同様の効果があると言われています。

ただし、インフルエンザを含めたウイルス性疾患へのクラリスロマイシンの処方は、保険診療上認められた適応症への処方ではない(適応外処方)ため、十分注意が必要です。

※2016/04/30 「薬剤師の転職・求人・派遣募集なら【転職ゴリ薬】」掲載分原稿

添付文書の読み方:添付文書とその役割

調剤薬局や病院薬剤部で働く薬剤師であれば、添付文書は、最も目にする機会が多い製品情報提供文書でしょう。パッケージに封入されているため、医薬品を開封する度に目に留まり、かえって「読まずに捨てる」という方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、添付文書は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法[旧薬事法])で医薬品への添付が義務付けられた公文書であり、とても重要な意味をもつ文書です。

添付文書は保険調剤の《要》

一般的に「調剤薬局」という名前が浸透していますが、調剤を行う薬局は、健康保険法に基づいて保険調剤を行う「保険薬局」として定義されています。

保険薬局での保険調剤は、原則として「薬担規則(保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則)」及び「調剤報酬点数表」に従って行われることが求められます。

添付文書には、「国から承認された」効能・効果、用量・用法、使用上の注意などが記されており、裏を返せば、そこに記載された内容以外は、保険診療の対象外とされる可能性があります。つまり、添付文書こそ、保険調剤の《要》となります。

意外と守られていない添付文書

一方で、実際には添付文書の通り処方されない医薬品が多く存在することも事実です。

たとえば、PL配合顆粒®は、添付文書には「1日4回経口投与」と記載されていますが、「1日3回毎食後」で処方されるケースが圧倒的に多いです。

また、ムコスタ®(一般名:レバミピド、大塚製薬)は、添付文書には「朝、夕及び就寝前に経口投与」(胃潰瘍の場合)と記載されていますが、やはり「1日3回毎食後」として処方されるケースがほとんどです。

ここで紹介したような軽微な用法の違いでは、治療効果や安全性に大きな差が出ることは考えにくいのですが、医薬品や患者さんの状態によっては、大きな問題に発展する場合もあります。

添付文書をしっかり確認する必要性

では、添付文書を確認せずに、疑義照会などの対応を行わないまま調剤を行うと、どんな問題が起こりうるのでしょうか。

まず考えられるのは、「保険調剤」と認められずに、審査支払機関(保険者)から調剤報酬を調整減額されるケースです。処方医側が減額される場合もありますし、薬局側から減額される場合もあります。また、適切な疑義照会などが行われていない薬局に対しては、管轄の地方厚生局からの指導が行われることがあります。

そして、最も大きな問題となるのが患者さんへの健康被害が起きた場合です。

もし、添付文書通りの用量・用法・適応症などでないにもかかわらず、疑義照会などを怠り、副作用が発現したり、十分な治療効果が得られなかったりした場合には、薬局・薬剤師にその健康被害に対する責任が発生します。平成23年には、薬の過量投与による医療事故で薬剤師に損害賠償責任を認めた判決が出されています。

まずは、勤務先で採用されている医薬品の添付文書をしっかりと確認し、調剤している処方内容が適切であるかどうか、もう一度確認してみる必要があるでしょう。

※2016/05/10 「薬剤師の転職・求人・派遣募集なら【転職ゴリ薬】」掲載分原稿を加筆訂正

傾聴の大切さ

昨年の秋口のことです。ある日の午後、知人の女性から「ちょっと聞いてよ!」とLINEが来ました。

メッセージを確認すると、矢継ぎ早に「福山雅治が結婚するんだって!」「ましゃ(福山雅治の愛称)だけは、ぜーったい結婚しないと思ってたのに!」と、かなり興奮した様子……。挙句の果てには「もう仕事する気がなくなったから、今日は会社を早退するわ」との言葉まで出ました。

『そもそも、自分だって結婚して、もう子供もいるのに、何がそんなにショックなんだろう?』と苦笑しながらも、「それはショックだったね」「いきなりの発表だったから驚いたね!」と相づちを返している間に、本人もだんだん落ち着いてきたらしく、「話を聞いてもらったらスッキリしたわ!ありがとね!」と、どうやら仕事をする気になれたようでした。

ワイドショーでも、彼女のような、いわゆる「ましゃロス」で「仕事を休む」「やけ酒を飲んでやる」といった女性が多くいたことが報道されていました。

人はなぜ、他人に話すのか?

先に書いた「ましゃロス」の女性ほど極端ではないにせよ、皆さんも「ちょっと聞いてよ!」と話を聞いてくれる人を探した経験はありませんか?

「道を歩いていたらガムを踏んでしまった」「仕事帰りにわざわざ1時間も遠回りして買い物にいったのに、目当ての限定品が売り切れていた」「お気に入りの服を汚してしまった」

そんなショックを受けた時、人は「ちょっと聞いてよ!」と、思わず誰かに話してしまいたくなるものです。

でも、これって、ちょっと不思議なことだと思いませんか? その出来事や気持ちを誰かに話したところで、それらの問題は一切解決しないのですから。

誰かに話したところで、踏んづけたガムが取れるわけでもなく、売り切れの限定品が買えるようになるわけでもなく、お気に入りの服の汚れが取れるわけでもないのです。

では、なぜ人は誰かに、そのストレスを受けた出来事を話すのでしょうか?

人に話すことで安らぎが得られる

人は、ストレスを感じた出来事を他人に話すことで、自分自身の気持ちが整理されて、気持ちが落ち着くといわれています。

特に、自分の怒りや悲しみ、といったネガティブな感情に共感してくれる相手があることは、その怒りや悲しみを和らげる作用を持っているのです。

こうした作用は、メンタルケアの場面において、カウンセリングという形で治療やリハビリに取り入れられてもいます。

薬剤師としての「傾聴」の大切さ

私たち薬剤師は、日々、さまざまな疾患をかかえた患者さんと接しています。

患者さんは、病気の症状や痛み、治療や薬の副作用についての不安など、私たち以上に敏感になっていらっしゃいます。

そんな患者さんのお話にじっくりと耳を傾けて「傾聴」することで、たとえ患者さんにとって何の解決にならなくても、あるいは、薬剤師として何もして差し上げられなかったとしても、患者さんの治療の手助けになるのではないでしょうか。

平成28年度調剤報酬改定で新設された「かかりつけ薬剤師」制度では、薬剤師に「患者さんとの信頼関係」や「コミュニケーション力」が求められています。
患者さんに選んでいただける薬剤師になることが目標ではありませんが、「かかりつけ薬剤師」としてその役割を十分に果たすためにも、普段から患者さんの悩みや不安に耳を傾けておきたいものです。

「いつでも、どんな話でもお聞きしますよ」という雰囲気づくりを心がけ、「傾聴」を大切にしていきたいですね。

※2016/05/05 「薬剤師の転職・求人・派遣募集なら【転職ゴリ薬】」掲載分原稿に加筆