薬歴が書けない原因は“まじめさ”に?

2015年に朝日新聞の報道などで明るみとなり、国会での議題にされるなど大きな問題となった薬歴未記載問題ですが、その後は経営陣がナーバスになったことにより、次第に問題は収束しつつあるように見えます。
しかし、現場では「とりあえずSだけ入力して、他は後回し」「点数の低い薬歴は項目のチェックのみ」など、「当面の処置」が行われている薬局もあるようです。
そもそも、なぜ薬歴はたまってしまうのでしょうか?

改善策は浸透しているか?

未記載問題が発覚してから、薬剤師会勉強会や日経DIなどの薬剤師向けコンテンツに「薬歴の書き方」などが紹介されてきました。
そこに書いてあるのは「できるだけ手順を省略して、早く書く練習を」「業務の中に薬歴を書く時間を組み込めるように」といった内容だと思います。確かに、それらを行うことで「一定の」効果は期待できると思います。
それでも前述の通り、依然として「薬歴が溜まってしまいがち」と嘆く現場の薬剤師が少なくないことも事実です。

薬剤師の“性格”が災いしている?

少し話がそれますが、ここ数年「ゴミ屋敷」や「汚部屋」「片付けられない症候群」などが話題になるケースが増えています。
そして、これらの原因の1つとして「完璧主義」や「潔癖症」といった性格があげられていることをご存じでしょうか。
「ここだけはキレイにしたい」「後で必ず完璧にキレイにする」と“完璧”こだわっているうちに、ゴミが溜まったり、部屋の整理が滞ってしまうというものです。
「薬剤師はマジメな人が多い」というのは、よく言われることです。この場合の「マジメ」には良い意味と悪い意味が込められているのは、簡単にわかるかと思います。
「「マジメ」な性格」というのは、「言われたことをきちんとやり遂げる」「目の前の課題に対して“正解”を見つけようする」という良い面でありますが、度を越すと「マジメに取り組まない、考えない人を排除しようとする」「正解がないものに対しても正解を欲しがってしまう」ということになります。
僕は、「薬歴未記載」の問題の原因の1つに、この薬剤師に多い性格にあるのではないか?と考えています。
つまり「完璧な薬歴を書こうとするあまり、時間がかかりすぎてしまう」「自分の中で“答え”が見つけられないので、1文も書きすすめることができない」ということが原因の1つになっているのではないか、ということです。
また「こんな中途半端な薬歴を書いて…」と人に思われてしまうのが嫌だというプライドもあるかもしれません。

薬歴に完璧を求め過ぎない

僕は、SOAP薬歴以外の薬歴を書いたことがありませんが、薬歴の中で最も重要なことは「薬剤師としての処方への考察」と「それを患者に対して行ったことの記録」だと思っています。
どんなに、患者の訴えや症状・検査値などがしっかり書いてあっても、「それをどう評価したのか?」「どう患者に説明し、対応をしたのか?」ということが書かれていなければ薬歴としては完成しません。
処方箋を受け取って、調剤し、患者さんに指導をする間、ほとんどの薬剤師は「何の症状に対してこの薬が出ているのか?」「用量・用法はあっているか?」「この薬の禁忌には該当しないか?」「副作用としての優先順位は?」などを考えているはずです。
実はそれはそのまま「アセスメント」に当てはめることができるので、それを薬歴のAに書いていけば良いのです。それをメモしておくだけでも相当楽になっていくと思います。
そして、その場で分からないことがあれば「不明」として記録すれば良いのです。(ただし、後で時間がある時に必ず調べて、申し送りに記録しましょう。)
しかし、それができないのは「“キチンとした”薬歴として完成させたい」「自分がという思いが先に立ってしまうからではないでしょうか。
たとえ「平均点的な薬歴」であっても、「書いていない薬歴=0点」よりははるかに良いのです。
もし、薬歴が書けないという現状があれば、まずはその背景にある要因の他に、薬剤師の「性格」もチェックして、「必ずしも薬歴に完璧は求められていない」というところから始めてみてはいかがでしょうか?

ふな3
ふな3
栃木県にある調剤薬局に勤務する薬剤師です。 薬局薬剤師としての勤務経験は長いとは言えませんが、日々業務や勉強をしながら気づいたことや感じたことを書き留めていきたいと思います。 ツイッターはこちら → @funa3di

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