添付文書の読み方:添付文書とその役割

調剤薬局や病院薬剤部で働く薬剤師であれば、添付文書は、最も目にする機会が多い製品情報提供文書でしょう。パッケージに封入されているため、医薬品を開封する度に目に留まり、かえって「読まずに捨てる」という方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、添付文書は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法[旧薬事法])で医薬品への添付が義務付けられた公文書であり、とても重要な意味をもつ文書です。

添付文書は保険調剤の《要》

一般的に「調剤薬局」という名前が浸透していますが、調剤を行う薬局は、健康保険法に基づいて保険調剤を行う「保険薬局」として定義されています。

保険薬局での保険調剤は、原則として「薬担規則(保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則)」及び「調剤報酬点数表」に従って行われることが求められます。

添付文書には、「国から承認された」効能・効果、用量・用法、使用上の注意などが記されており、裏を返せば、そこに記載された内容以外は、保険診療の対象外とされる可能性があります。つまり、添付文書こそ、保険調剤の《要》となります。

意外と守られていない添付文書

一方で、実際には添付文書の通り処方されない医薬品が多く存在することも事実です。

たとえば、PL配合顆粒®は、添付文書には「1日4回経口投与」と記載されていますが、「1日3回毎食後」で処方されるケースが圧倒的に多いです。

また、ムコスタ®(一般名:レバミピド、大塚製薬)は、添付文書には「朝、夕及び就寝前に経口投与」(胃潰瘍の場合)と記載されていますが、やはり「1日3回毎食後」として処方されるケースがほとんどです。

ここで紹介したような軽微な用法の違いでは、治療効果や安全性に大きな差が出ることは考えにくいのですが、医薬品や患者さんの状態によっては、大きな問題に発展する場合もあります。

添付文書をしっかり確認する必要性

では、添付文書を確認せずに、疑義照会などの対応を行わないまま調剤を行うと、どんな問題が起こりうるのでしょうか。

まず考えられるのは、「保険調剤」と認められずに、審査支払機関(保険者)から調剤報酬を調整減額されるケースです。処方医側が減額される場合もありますし、薬局側から減額される場合もあります。また、適切な疑義照会などが行われていない薬局に対しては、管轄の地方厚生局からの指導が行われることがあります。

そして、最も大きな問題となるのが患者さんへの健康被害が起きた場合です。

もし、添付文書通りの用量・用法・適応症などでないにもかかわらず、疑義照会などを怠り、副作用が発現したり、十分な治療効果が得られなかったりした場合には、薬局・薬剤師にその健康被害に対する責任が発生します。平成23年には、薬の過量投与による医療事故で薬剤師に損害賠償責任を認めた判決が出されています。

まずは、勤務先で採用されている医薬品の添付文書をしっかりと確認し、調剤している処方内容が適切であるかどうか、もう一度確認してみる必要があるでしょう。

※2016/05/10 「薬剤師の転職・求人・派遣募集なら【転職ゴリ薬】」掲載分原稿を加筆訂正

ふな3
ふな3
栃木県にある調剤薬局に勤務する薬剤師です。 薬局薬剤師としての勤務経験は長いとは言えませんが、日々業務や勉強をしながら気づいたことや感じたことを書き留めていきたいと思います。 ツイッターはこちら → @funa3di

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